元札幌FWジェイが持論「メッシ対ロナウドの論争は終結した」

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Lionel Messi of Argentina and Cristiano Ronaldo of Real Madrid split
Getty Images

元イングランド代表でプレミアリーガーのジェイ・ボスロイドが、ワールドカップ決勝を振り返り、「メッシ・ロナウド論争」についての持論を語った。

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最高のワールドカップ決勝だった。少なくとも私の人生の中では間違いなく。アルゼンチンは本当に素晴らしかった。70分までは完璧にゲームプラン通り進んでいた。しかし、フランスが1点返せば、もう1点を追加するような雰囲気が漂っていた。ディディエ・デシャン監督が若い選手を投入し、そのエネルギーでフランスが息を吹き返した。

フランスは決勝トーナメントのそれまでの2試合でも全く同じ方法で勝ち上がってきた。特段いいパフォーマンスを見せているわけではないのに、1点を奪い、最後の10分で優位に試合を進めるのだ。

決勝でよかったのは、期待された選手たちが十分それに応えたところだ。キリアン・エムバペは最高の試合をしたとは言えないものの、10分間の素晴らしい活躍をしたし、プレッシャーのかかるPKを決めた。トップ選手があるべき姿だ。理想的な試合でないときでも、何かしらの結果を出す。

エムバペはこれからも素晴らしいキャリアを歩むだろうが、誰がGOAT(訳注:Greatest Of All Time=「史上最高の選手」の略)かは明らかになった。私はロナウド(元ブラジル代表)も好きだ。何でもできるし、同じストライカーとして肩入れしてしまうので、少々のバイアスもかかる。だが私は、常にメッシが史上最高だと思っていた。

私にとって、メッシ対クリスティアーノ・ロナウドの論争は存在すらしていなかった。メッシには神から与えられた才能がある。ロナウドを否定しているわけではない。彼は体を鍛え上げて懸命に努力し、大きな影響を与えられる選手となった。信じられない得点力を持っているし、大成功している。

しかし、メッシは誰もが一緒にプレーしたいと望む選手だ。ピッチを共にして楽しくなかったなどという話は、読んだことも見たことも聞いたこともない。一方でロナウドについては、自分本位で利己的だという話を耳にすることもある。

それこそがロナウドがこれほどまでの成功を手にできた理由でもあるが、最近は彼がどのような人間か明らかになりつつある。例のインタビューで話したことやチームメイトを悪く言ったことは、彼が築いてきた財産を台無しにするものだ。とても見ていられない。

メッシは、ピッチ上での活躍と同じくらい、オフ・ザ・ピッチでも素晴らしい振る舞いをする。彼の口から「俺が一番だ」なんて言葉は聞いたことはないだろう。それを言うのはロナウドだ。世界最高の選手は、そんなことをわざわざ自分で言わなくても、周りの全員がそう言ってくれるのだ。

バルセロナのレギュラーに定着してから、メッシは毎シーズン、どの大会でも欠かせない中心選手となった。ビッグマッチに出場しては得点やアシストを記録した。彼は素晴らしい活躍でチームに貢献してきた。

ロナウドが最高のゴールスコアラーだと言う人も多いが、彼はメッシより2~3年長くプレーしている。得点率と得点関与数では、メッシがロナウドより上だ。私はこれがメッシの方が全体的に優れた選手だと証明していると思う。品もあるし、自己中心的でもない。キャリアを通して、正しい判断をし、正しいパスを供給し続けてきた。

サッカーを知っていて、毎週観戦するほど精通している人であれば、メッシ対ロナウドの議論すらしないだろう。

決勝ではメッシはもちろん、今大会の決勝トーナメント初の先発出場となったディマリアの活躍が素晴らしかったことについても触れなくてはいけない。彼は左サイドで大きな違いを生み出した。フランスの守備陣を引き付け、左利きの強みを活かして一対一の状況を作った。

アルゼンチンはほとんどの選手が主役級の活躍をした。エンゾ・フェルナンデス、アレクシス・マクアリステル、そしてエミ・マルティネスはとても良い働きをしたし、ビッグクラブからのオファーがあるかもしれない。

試合終盤のマルティネスのセーブには驚かされたし、PK戦での振る舞いも、私は問題ないと思う。少しでも優位に立つための行動だったのだろう。スポーツマンシップも大切だが、結局は勝利が全てだ。もし相手に疑念を抱かせ、より優位に立てるチャンスがあるのなら、活かさない手はない。

クリスティアン・ロメロは、ストライカーにとっては最悪の対戦相手だ。身体能力が高いだけでなく、足元の技術も兼ね備えており、落ち着いてプレーできる。彼を見ていると、私がセリエAでプレーしていたときに対戦した、元インテル・ミラノのコロンビア代表DF、イバン・コルドバを思い出す。

コルドバの南米特有のプレースタイルがロメロに似ていた。身長は高くないが、とてもアグレッシブで、背後からでも常に果敢に挑んでくる。彼との対戦は楽しいものではなかった。コルドバと対戦する週末は恐怖を感じていた。ボールを受けるとき、彼は必ずインターセプトを狙っていた。

ロメロも全く同じような選手だ。ワールドカップの活躍は素晴らしかった。それでも、最終的には一人の男に帰結する。今大会の開幕前から、イングランドが勝てなかった場合は、メッシのワールドカップ優勝が見たいと思っていた。彼はいま、すべてを手にした。GOATの地位を確固たるものとした。もっとも、それは以前から決まっていたことなのだが。


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著者
Jay Bothroyd Photo

Former England international, Premier League and J-League striker Jay Bothroyd is a columnist for The Sporting News, offering his expert take on the world of football.