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渡邊雄太「精神的にしんどかった時期は乗り越え、今は全部楽しめるようになっています」|ネッツ戦前後一問一答(2月1日/現地1月31日)

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Yuta Watanabe
(NBA Entertainment)

フェニックス・サンズの渡邊雄太が、2月1日(現地1月31日)に敵地のバークレイズ・センターで行われた古巣のブルックリン・ネッツ戦前後に日本メディアの取材に応じた。

昨季ケビン・デュラントらとともに所属していたネッツとの初対戦で、渡邊は第4クォーター残り1分20秒から出場し、4試合ぶりにコートに立った。試合はサンズが136-120で勝利している。

以下、渡邊の試合前後の一問一答(すべて日本語での質疑応答。質問は要約)。

やっぱりここに帰ってきたら色々と思い出します

――第4クォーター終盤に登場の瞬間、ファンから大歓声があがった。

渡邊:あれは嬉しかったですね。ボールをもらおうかと思ったんですけど、(元同僚の)ロイス(・オニール )に見事にのっかられて(阻まれて)しまいました(笑)。

――久々のブルックリンで想いは?

渡邊:去年1年間で僕のキャリアが大きく変わったと思っているので、やっぱりここに帰ってきたら色々と思い出します。まあ懐かしいと言ってもそんなに経ってないですけど、ちょっと感慨深いというか、本当に去年のことを思い出しました。

――改めて振り返っても昨季は重要なシーズンだったと感じる?

渡邊:もともと本当にNBAにいられるのも去年で最後かなって思っていましたし、何ならシーズン初めはGリーグで1回やって、そこからNBAを目指そうっていうことも考えたりしていました。

その中で本当にすべてがうまくいって、人に出会えて、いろんなことを経験できて、僕のNBAでの寿命が延びたのは去年の1年があったから。多分引退するときとか、自分のキャリアを振り返ったときに、間違いなくこのブルックリンの時間っていうのは一番に出てくるだろうなと思います。

精神的にしんどかった時期はもう乗り越え、今は全部楽しめるようになっています

――出場機会の限られる今は我慢して、とにかく準備して、という感じか?

渡邊:精神的にしんどかった時期はもう乗り越え、今は本当にいろいろ全部楽しめるようになっています。こういう状態も別に初めてでもないですし、今までやってきた通り、ずっと継続して、努力していれば、また自分の出番が来た時にしっかり結果を残せるだろうと思っています。

年齢的にも僕はもうそんなにNBAでも長くはやれないんだろうなと思っているので、1日1日、楽しまないともったいないな、と。来年もう1年、プレイヤーズオプションがありますし、もちろんもっと長くやれればやりたいですけど、NBAでの寿命っていうのも短くはなってきていると思うので、本当に楽しむ方向にシフトできています。

精神的に今は全然、そんなにしんどいとも思ってないですし、そういう状況も含めて全部のことを楽しめるようになっています。

――そういった気持ちの切り替えはこれまでの経験があるからできるのか?

渡邊:これまでの経験もそうですし、あとはさっきも言った通り、終わりが見えてきているって言うとあれですけど、現実的に考えて今からあと10年もNBAにいられるとは思ってないので。仮にこれから活躍して、来シーズンも活躍したとしても、そこからあとできて2、3年くらいかなと思っています。

アメリカでの生活も今年が11年目ですかね。こっちにきて、本当にいろんなことを経験して、そのアメリカの生活も終わりに近づいてきているんだなっていうのを冷静に考えていた時に、もっと毎日前を向いて、顔を上げてやらないと、と思いました。

自分がやること自体は変わらず、どんなにしんどくても絶対に努力はできるタイプの人間ですし、それで諦めたりはしないですけど、どうせやるんだったらしっかり顔を上げて、楽しんでやらないともったいないなっていうふうに思ったんです。

そういう考えに至ってからは、精神的にもずいぶん楽になりましたし、本当に今はいろいろと楽しんでやっています。

――20代前半と比べて身体の変化は?

渡邊:やっぱり全然違いますよ。今までだったら例えばNBAの48分中、44分間をベンチに座って見ていて、急に出されても全力疾走できていました。今は自分の頭の中ではやっているんですけど、足がちょっと動いてない、身体が動ききっていないと感じるようになっています。まだ29歳、今年30歳で、まだまだ動けはするんですけど、NBAでのルーキー時代とかに比べたら、そういう部分で年齢は間違いなく感じるようにはなってきています。

バスケ選手のピークはおそらく28〜30歳くらい。僕はちょうどその時にいるんだとは思いますし、しっかりウォーミングアップできていれば動けるのは動けるんですけど、ウォーミングアップなしでとなると、やっぱり今までほどは動けていないなという感じですね。

僕ら選手が知るのって結局そこ(X)が一番情報が早かったりする

――トレード期限が近づき、チーム内の雰囲気は?

渡邊:トレードの話はX(旧ツイッター)で見ています。僕はトレードされたことはないですけど、今までチームメイトとかを見ていて、実際僕ら選手が知るのって結局そこが一番情報が早かったりするんです。何でか知らないですけど(笑)。

――Xの情報が選手が実際に聞くよりも早い?

渡邊:選手もそこで情報を見て、(トレードされたことを)自分が知るっていうこともあったりします。なんであんなことになるのかわかんないですけど(笑)。

本当に色々あるんだと思いますけど、例えば僕の耳に直接なにか入っているとかは一切ないです。僕は言ってもミニマム(契約)なんで、トレードがあるとしても誰かとセットで出されるかもしれないぐらい。僕がトレードのメインで出されるみたいなことは、まあないでしょう。

でもこういう世界なので、何が起こるかわかんないですよね。もちろん僕はサンズでずっとやりたいですし、仮にもしトレードされたとしても、それはそれでまた一つの新しい経験として楽しめたらとは思っています。

取材・一問一答構成:杉浦大介


サンズは次戦、2月3日午前9時30分(現地2日)にジョージア州アトランタのステイト・ファーム・アリーナでアトランタ・ホークスと対戦する。

著者
杉浦大介 Daisuke Sugiura Photo

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。