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【宮地陽子の一戦一言】第34話:ジミー・バトラー「疑いを持たないこと。俺らにはやるべきことがある」

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Jimmy Butler
(Getty Images)

選手やコーチたちの興味深いコメントの背景にあるものはいったい何なのか――? 米国ロサンゼルスを拠点に長年NBAを追い続けるライターの宮地陽子氏が、ある『一戦』で発せられた『一言』の真意を読み解く。

第34話となる今回は、マイアミ・ヒートのジミー・バトラーがデンバー・ナゲッツとのNBAファイナル第4戦後に語った言葉の裏側に迫る。

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今日の一戦一言(いっせんいちげん)

ジミー・バトラー(マイアミ・ヒート

「疑いを持たないこと。これまでも、そんなものは持っていなかった。そして、諦めないこと。俺らにはやるべきことがある」

6月9日(日本時間10日)、NBAファイナル第4戦に敗れてシリーズ1勝3敗、デンバー・ナゲッツに王手を取られて崖っぷちに追い込まれたマイアミ・ヒート。試合後に、第5戦までにチームメイトたちに一番伝えたいメッセージは何かと聞かれたジミー・バトラーは、「疑いを持たないこと。諦めないこと。俺らにはやるべきことがある」と言った。

今シーズンのヒートはレギュラーシーズンの間から苦戦し、プレイイン・トーナメントでは初戦に敗れ、危うくプレイオフ自体を逃すところだった。

プレイオフではイースタン・カンファレンスの第8シードから上位チーム相手の戦いの連続。しかもプレイオフ初戦でタイラー・ヒーローを手の骨折で、3試合目でビクター・オラディポを左膝蓋骨腱断裂で失ったが、言い訳することなく、試合に出られるメンバーで戦い続けてきた。

ボストン・セルティックスとのイースタン・カンファレンス決勝では3勝0敗と先に王手を取りながらも、その後3連敗。第7戦の敵地での勝負に勝ってNBAファイナル進出を決めた。

どれだけ追い込まれても、絶体絶命に思えるような状況でも、前を向いて、お互いを信じ、自分たちの力を信じ、諦めずに、困難の向こう側には自分たちが心から欲しいと思うものがあると信じて戦ってきた。NBAファイナルで王手をかけられた今も、諦めず、自分たちの力を疑うことなく戦い続けよう。それが、バトラーからチームメイトたちへのメッセージだった。

NBAファイナルでは、シューターたちのショットが思うように決まっていない。ホームで連敗した第3戦と第4戦でマックス・ストゥルースとゲイブ・ビンセントの2人が決めた3ポイントショットの数はわずか2本、成功率は11.8%。しかしバトラーは、次の試合でも彼らがノーマークならパスを出し続けると断言する。

「僕は仲間のことを強く信じている。シュートは必ず決まる。彼らがいたからこそ、これだけ多くの試合に勝つことができた。彼らのことを信じる気持ちが揺らぐことはない。これからバスケットボールを正しい方法でプレイし、彼らに信頼を寄せていく。そして、その結果を受け入れる」

さらに、こうも言った。

「僕たちはお互いを、そして自分自身を信じている。シーズンを通して、このプレイオフを通して、困難を乗り越えてきた。今は、その中でも最も困難な状況にあるけれど、いつも言っているように、困難の向こう側には自分たちが望むものがある。これが僕らにとってこれが現実なんだ。このあと3連勝するしかない」 


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著者
宮地陽子 Yoko Miyaji Photo

スポーツライター/バスケットボールライター