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ウィザーズからレイカーズへ 八村塁の2022-2023シーズンを振り返る

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Rui Hachimura
(Getty Images)

ウェスタン・カンファレンス・ファイナルでロサンゼルス・レイカーズがデンバー・ナゲッツに敗れたことで、激動となった八村塁の2022-2023シーズンが終幕した。

八村にとっては契約最終年ということもあり、今後の彼のNBAキャリアを左右する重要なシーズンでもあった。トレード期限を前にワシントン・ウィザーズからレイカーズへ移籍し、背番号を馴染みのある8番から28番に変えることとなった八村の今季を振り返ってみよう。

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Rui Hachimura
(NBA Entertainment)

ウィザーズでの最終シーズン

2019年のNBAドラフト全体9位で指名を受けたウィザーズとの最終シーズン、八村はベンチからの出場が続くこととなった。キャリア最初の2シーズンは出場した試合で全て先発出場していたが、昨季は個人的な理由でチームを離れていた期間が続き、シーズンデビューとなったのはレギュラーシーズン40試合目。すでにチームのローテーションは固まっており、ベンチから徐々にリズムとチームでの立ち位置を取り戻していく格好となった。

その後もしばらくベンチからの出場が続き、初先発となったのはレギュラーシーズン70試合目だ。その後シーズン最終戦まで13試合連続で先発メンバーとしての出場となった。

今季はチームがカイル・クーズマとデニ・アブディヤを先発させる方針を取った影響で、八村は本格的にシックスマンとしてのシーズンをスタートさせることとなった。ベンチからでも安定した得点力を誇り、開幕から最初の16試合中13試合で二桁得点を記録し、チームも9勝7敗と好調なスタート切った。

しかし、八村はそこから足首の負傷で1か月ほど離脱することとなる。その期間中に、ウィザーズは3勝13敗と大きく成績を落としていった。

復帰後もベンチからの出場は続き、さらには安定しない起用方法でリズムになかなか上手く乗れない時期もあった。それでも30得点を2回記録するなど、持ち前の得点力で奮起する姿も度々見られた。

LeBron James, Rui Hachimura
(NBA Entertainment)

レイカーズへのトレード

転機となったのは、トレード期限の2週間ほど前、1月24日(現地23日)のトレードだ。ウィザーズからレイカーズへとトレードされた八村は、慣れ親しんだワシントンDCを離れ、ロサンゼルスで新たなキャリアをスタートさせることとなった。

しかもチームメイトにはレブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスという、リーグ屈指のデュオが揃った名門チームだ。八村のレイカーズへの移籍は大いに注目され、日本でも普段NBAを取り上げないような媒体もが八村の移籍と活躍を報じた。

レイカーズではレブロンの負傷離脱中に先発出場が続くこともあったが、基本的にはシックスマンとしての出場が続いた。

ウィザーズでは30試合で記録した平均13.0得点が、レイカーズに加入してからは33試合で平均9.6得点まで落ちた。しかし出場時のチームの得失点を表すプラスマイナスはウィザーズでのマイナス2.3からプラス1.2に改善。100ポゼッション平均に換算されたレーティングでも、ネットレーティングはマイナス4.7からプラス2.2まで大きく数字を伸ばした。

トレードされた時点でのレイカーズは22勝25敗と勝率5割を切る苦しい状況にいたが、八村が加入後は21勝14敗の成績で、最終的に43勝39敗でレギュラーシーズンを終えた。

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Rui Hachimura guarding Nikola Jokic
(Getty Images)

プレイオフでの躍進

西の7位となったレイカーズは、プレイイン・トーナメントでミネソタ・ティンバーウルブズを倒して第7シードとしてプレイオフに進出。ここから、八村は一気に名を上げていくこととなった。

第2シードのメンフィス・グリズリーズとのファーストラウンド第1戦では、ベンチから29分48秒の出場で3ポイントショットを6本中5本決める29得点の大活躍を見せ、全米に注目されることとなった。第2戦でも20得点を記録し、シリーズ平均14.5得点、4.7リバウンド、3P成功率52.4%の活躍で、シリーズ突破に大きく貢献した。

続くゴールデンステイト・ウォリアーズとのカンファレンス・セミファイナルでは、第2戦で21得点の活躍を見せるも、マッチアップの都合で出場時間が沈み、ほかの5試合では一桁得点、フィールドゴール試投も少なかった。それでもシリーズでの3P成功率は55.6%と高く、与えられた時間で結果を出し続けた。

デンバー・ナゲッツとのカンファレンス・ファイナルでは、4試合で平均15.3得点を記録した。八村はスモールボールのインサイド選手として、シリーズMVPに輝いたニコラ・ヨキッチと何度もマッチアップし、守備でもチームに貢献。最後の第4戦では先発メンバーに昇格するなど、レイカーズにとって重要なピースとなっていた。

Rui Hachimura Los Angeles Lakers
(NBA Entertainment)

注目のオフシーズン

プレイオフで大活躍を見せたことで、八村の市場価値が大幅に上昇したのは間違いない。レイカーズは彼を残留させるために動くであろうと予想されるが、スター選手を獲得するためにチーム状況が変わることもあるため、まだ来季の八村がどこでプレイすることになるのかはわからない。

しかし、プレイオフという大舞台で素晴らしい結果を出したことで、リーグ内での彼の評価も高まっており、来季以降の八村の成長を楽しめることには変わりない。ルーキー契約を終え、新たなフェーズへと彼のキャリアは進んでいく。

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著者
大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。