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レイカーズでウェストブルックがベンチ出場するメリットはあるのか?

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[NBA Getty Images]

ラッセル・ウェストブルックが昨シーズン、ロサンゼルス・レイカーズで苦戦したことは周知の事実だ。

レイカーズがプレイオフ進出を逃したのは——怪我やロスター構成の悪さとともに——ウェストブルックの不調が大きく、それが原因でチームは開幕を前にカイリー・アービングの獲得に動いている。

2022-23シーズンのレイカーズのロスターにウェストブルックがいたとして、彼は昨年と比べてどのくらい自由にプレイできるのだろうか?

『The Athletic』のヨバン・ブーハ記者によると、自由度はあまり高くなさそうだ。

「リーグ関係者によると、レイカーズの新ヘッドコーチのダービン・ハムは、試合の終盤でウェストブルックをベンチに下げる権限をより多く持つことになるだろう (前ヘッドコーチのフランク・ボーゲルは昨シーズン何度か実行した)」と、ブーハ記者は書いている。

「最終的にはウェストブルックを先発から外すことにも及ぶかもしれない」

ウェストブルックがまたもやスロースタートとなった場合、彼がベンチ出場することによるウェストブルックとレイカーズのメリットはなんなのか検証してみよう。

レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビス不在の中、ウェストブルックはどうプレイしたのか?

Russell Westbrook

ウェストブルックは昨シーズン、ジェームズとデイビスの両選手がいない状況で5試合に出場した。

その5試合は、ウエストブルックの個人の活躍という意味ではとても良く見えるが、一方で、レイカーズは5試合で1勝もできなかった。

  • 1月28日(アウェイのシャーロット・ホーネッツ戦):敗戦

    35得点、4リバウンド、5アシスト、FG23本中12本成功、3P7本中3本成功、FT10本中8本成功
  • 3月7日(アウェイのサンアントニオ・スパーズ戦):敗戦

    17得点、10リバウンド、6アシスト、FG14本中5本成功、3P2本中0本成功、FT13本中7本成功
  • 3月23日(ホームのフィラデルフィア・76ers戦):敗戦
    
24得点、9リバウンド、8アシスト、FG20本中10本成功、3P5本中2本成功、FT5本中2本成功
  • 3月29日(アウェイのダラス・マーベリックス戦):敗戦

    25得点、8リバウンド、6アシスト、FG17本中9本成功、3P5本中1本成功、FT6本中6本成功
  • 3月31日(ホームのユタ・ジャズ戦):敗戦
    
24得点、6リバウンド、7アシスト、FG18本中9本成功、3P2本中0本成功、FT10本中6本成功

公平を保つために言っておくが、昨年のレイカーズのロスターは、ジェームスやデイビスの不在を差し引いてもひどいものだったので、これらの負けをすべてウェストブルックの責任にはしがたい。その上、ウェストブルックはこの5試合で、1試合平均25.0得点、7.4リバウンド、6.4アシスト、フィールドゴール成功率48.9%を記録しているのだ。

この活躍だけを見ても、役割は限定的になりはするが、ベンチから出場することで彼の生産性が上がる根拠にはなり得る。

ベンチ出場はウェストブルックのプレイにどう影響するのか?

元MVPのウェストブルックは、ルーキーシーズン以降、NBAで一度もベンチ出場をしたことがない。ルーキーとして82試合中65試合で先発出場し、その後のキャリアの全試合で先発出場している。

ベンチから出ることは、おそらくこれまでの人生でずっとスターターだったウエストブルックにとってかなりの調整が必要となると言えるだろう。

だからといって、それがキャリアのこの段階でこのチームでの彼のプレイに合わないとは言えない。

ジェームズとウェストブルックのようなボールを必要とする2人の選手がかみ合うかどうかについては常に疑問があった。控えとして出場すれば、ウェストブルックはセカンドユニットの主導権を握ることができ、より多くのショットを打つチャンスがあり、オフェンスを仕切ることもできる。また、レイカーズがより身体能力の高いロニー・ウォーカー四世フアン・トスカーノ・アンダーソン、スタンリー・ジョンソンのような選手を追加したことで、彼らとペースの速い展開を繰り広げられるだろう。

最大の問題は——これはセカンドユニットだけではなくロスター全体に言えることだが——ウェストブルックの周りにシューターがあまりいないことだ。彼自身もシューターでないため、ウェストブルック率いるベンチメンバーを相手にディフェンスはペイント内に集中し、その結果、おそらくオフェンスが非常にひどい状態になることがあると予想される。

しかし、もしハムHCが、ウェストブルックがシックスマンのような役割に適していると感じているのなら、ウェストブルックはすべてのポゼッションでボールを持つ機会が増えることに希望を抱くべきだ。

ウェストブルックはベンチ出場を受け入れるのか?

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NBA Getty

あらゆる兆候が示している答えは…Noだ。

今年1月に前ヘッドコーチのボーゲルが試合終盤でウェストブルックをベンチに下げたとき、ウェストブルックはその決断に意見した。

ESPN』によると、ウェストブルックは記者団に対して「驚いたね。自分がコートに戻らなかったことにがっかりしたけど、試合に負けたことの方がもっと残念だよ」と語ったという。

「チームメイトを助けるために試合に出て、ああいう試合でチームの勝利に貢献できるようになりたいけど、あれは決められたことだったから」

シーズン後半には『ESPN』が、ウェストブルックを先発から降格させようとする「レイカーズ組織の多くの人々の間で高まる動き」があったと報じたが、ボーゲル元HCはウェストブルックをベンチから出場させることに抵抗があったようだ。

6月に行われたハム新ヘッドコーチの記者会見でも、ウェストブルックが控えにまわることに不快感を示したという噂が流れた。

『The Athletic』のビル・オラム記者は、記者会見に出席していたウェストブルックについて、その場にいた人しかわからない興味深いエピソードを紹介している。

「ハムHCが、ベンチ出場の可能性も含めた役割の変更についてウェストブルックと話し合ったかと問われたとき、それまでほとんど無表情だったウェストブルックが顔をしかめて、その後は笑いを抑えられなかった」と、オラム記者は書いている。

どれひとつとしてウェストブルックがベンチ出場しても良いと思っていることを裏付けるものではないが、いよいよそうなったときには、ハムHCはチームを第一に考えるようにと、ウェストブルックを説得できるかもしれない。

原文:Could Russell Westbrook and the Lakers benefit from a move to the bench?(抄訳)

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著者
Kyle Irving Photo

Kyle Irving is an NBA content producer for The Sporting News.