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富永啓生のNBAへの道:2023年のNBAドラフト・アーリーエントリー取り下げ ネブラスカ大学に戻ることを決意|最新情報まとめ

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Keisei Tominaga University of Nebraska
(Getty Images)

5月31日(日本時間6月1日)、米国大学バスケットボールNCAA1部・ネブラスカ大学の富永啓生が2023年のNBAドラフトへのアーリーエントリーを取り下げ、来季は再びネブラスカ大に戻ることを発表した。これにより、富永のNBAへの挑戦は来年以降に持ち越しとなった。

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富永が表明したアーリーエントリーとは、米国の大学に所属する選手の場合、大学卒業学年の前にドラフト参加を表明することだ。自動的にドラフト資格の与えられない選手が、ドラフト資格を得るためにドラフト60日前までにその旨を宣言することでドラフト指名対象になることができる。アーリーエントリーすることにより、ドラフトにおける自分の位置付けを確認するために、ドラフト前に実施されるキャンプやワークアウトに参加することが可能となる。

ここでは、富永のこれまでの経歴、NBA入りに向けてのプロセス、ドラフトに向けた動きについてまとめる。

関連記事:富永啓生はなぜ2023年のNBAドラフト・アーリーエントリーを取り下げ、もう1年ネブラスカ大でプレイすると決めたのか?


2023年NBAドラフトに向けた富永啓生の動き

富永啓生が2023年NBAドラフトにアーリーエントリー

4月26日(同27日)、ネブラスカ大学の富永啓生が2023年のNBAドラフトにアーリーエントリーしたことが正式に発表された。

4月24日(同25日)の時点では、ネブラスカ大を取材する『Husker Online』のロビン・ワシャット記者が、富永はいくつかのNBAチームとのワークアウトをする予定だと報じていた

富永啓生の近況についてホイバーグHCが言及

5月17日(同18日)、富永の所属するネブラスカ大のヘッドコーチのフレッド・ホイバーグがネブラスカ大のラジオ番組『Huskers Radio Network』に出演し、富永のために複数のNBAチームとのワークアウトを準備していることを含め、富永の近況を語った。そのワークアウトの結果やフィードバックを踏まえて、5月末に富永本人と家族関係者と話し合いの場を持ち、その後の最善の道についての決断を下すと話している。

また、ホイバーグHCは、富永が6月半ばには日本代表の活動のために帰国するため、オフシーズン中に十分なウェイトトレーニングができない富永のために集中トレーニングプログラムを用意し、体重・筋力増加に取り組んでいることにも触れた。その結果、「啓生だとは気づかないかもしれない」ほど、富永は身体を大きくしたようだ。

ホイバーグHCは、1995年のNBA2巡目でインディアナ・ペイサーズに指名され、ペイサーズ、シカゴ・ブルズ、ミネソタ・ティンバーウルブズで選手としてプレイした後、ブルズでコーチも務めた経歴を持つ。富永と同じ3Pを得意とするシューティングガードであり、NBAとも関係の深いホイバーグHCの存在は大きい。

富永啓生がペイサーズのドラフト前ワークアウトに参加予定

5月29日(同30日)、富永啓生がインディアナ・ペイサーズが開催するドラフト前ワークアウトに参加することが明らかになった。ガード選手を対象にしたこのワークアウトは、5月30日(同31日)にインディアナ州インディアナポリスにあるアセンション・セントビンセント・センターで行われるとペイサーズが発表している。

富永啓生、ペイサーズとのワークアウトは「素晴らしい経験」

5月30日(同31日)、富永啓生がインディアナ・ペイサーズのドラフト前ワークアウトに参加した。ワークアウト後のインタビューで富永は、NBAチームとのワークアウトはこれが初めてだったと明かし、「子どもの頃からNBA選手になるのが夢なので、ワークアウトができたのは素晴らしい経験」と話している。

このワークアウトで富永は、最大の強みである3Pシューターとしての実力を発揮できたようだ。というのも、ペイサーズの練習で、3Pラインの5か所から5本ずつ3Pを打ち、合計25本のうち20本以上成功させた選手だけが鳴らすことができるというベルを、富永が鳴らしている様子がアップされているのだ。

一方、強みを見せることのできた富永がこのプロセスで知りたいのは、もっと成長しなくてはいけないと自身が認める「ディフェンス面やフィジカル面について」だと話した。

また、現在NBAで活躍する渡邊雄太や八村塁に次ぐ日本人NBA選手になることの意味を聞かれると、富永は「その意味は大きいです」と答え、「彼らのプレイをたくさん見てきたので、次のNBA選手になれたらと思っています」と続けた。会場にはラリー・バードの姿もあった。

富永啓生が来シーズン、ネブラスカ大学に戻ることを決意

NCAAのアーリーエントリー取り下げ期限の5月31日(同6月1日)、富永啓生が2023年のNBAドラフトへのアーリーエントリーを取り下げ、2023-24シーズンに再びネブラスカ大に戻ることをツイートで発表した。

ネブラスカ大のホイバーグHCは、「2023-24シーズンに啓生が戻ってくることに興奮している」と話している

「彼はこのプロセスで、NBAの関係者からフィードバックを受け、引き続き努力すべきことを知ることができ、非常に有益だったと思う。彼はBIG10のベストプレイヤーの1人になる能力を示し、カンファレンスシーズンの後半における我々の成功の触媒となった。シーズンが終了してから啓生は非常にハードに練習に取り組み、シニア(4年生)として特別なシーズンを迎えるチャンスが待っている」

ホイバーグHCはさらに、富永がネブラスカ大に戻る喜びを日本語でツイートしている。

NBAへの挑戦は来年以降に持ち越しとなった富永は、8月に沖縄で行われるFIBAワールドカップ2023に向けた代表活動のために帰国する予定だ。

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※以下、アーリーエントリー時点の情報。

アーリーエントリーからNBA入りに向けた日程

NBAドラフトコンバイン

日程:5月15日~21日(同16日~22日)
開催地:イリノイ州シカゴ

リーグ全チームの投票に基づいて60人前後のエントリーが期待されるドラフト候補選手が招待され、各チームのGM、コーチ、スカウトとの面談、身体測定・体力測定、5対5のゲームやシュート、筋力・敏捷性(ストレングス&アジリティー)のドリル、練習試合(スクリメージ)を行う。

NBAドラフトロッタリー(ドラフト指名権抽選会)

日程:5月16日(同17日)
開催地:イリノイ州シカゴ

プレイオフに出場することができなかった14チームが、ドラフト指名権の順位を抽選で確定する。

NCAAのアーリーエントリー取り下げ期限

日程:5月31日(同6月1日)

NCAAのルール上、大学選手が大学での出場資格を維持するためには、米国東部標準時間5月31日午後11時59分(同6月1日午後1時)までに表明を取り下げる必要がある。

アディダス・ユーロキャンプ

日程:6月9日~11日(同10日~12日)
開催地:イタリア・トレヴィーゾ

米国外で唯一公式に認可されたNBAドラフト対象選手のドラフト前キャンプで、18~22歳の次世代アスリートが参加。これまでに150人以上の元・現役NBA選手やユーロリーグ選手を輩出している。アディダス・ユーロキャンプは2017年以来の復活となる。

2018年には、アディダス・ユーロキャンプに代わって同じくイタリア・トレヴィーゾで開催されたNBAグローバルキャンプに渡邊雄太が参加している。

NBAアーリーエントリー取り下げ期限

日程:6月12日(同13日)

アーリーエントリーを表明した選手たちは、米国東部標準時間の6月12日午後5時(同13日午前6時)までに表明を取り下げることができる。

NBAドラフト2023

日程:6月22日(同23日)
開催地:ニューヨーク州ブルックリン(バークレイセンター)

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カリフォルニア・クラシック・サマーリーグ2023

日程、開催地、参加チームなどの詳細は未定

ソルトレイクシティNBAサマーリーグ2023

日程:7月3日~6日(同4日~7日)
開催地:ユタ州ソルトレイクシティ

ユタ・ジャズ、メンフィス・グリズリーズ、オクラホマシティ・サンダー、フィラデルフィア・76ersの4チームが参加するサマーリーグ。ドラフト指名選手や、ドラフト指名から漏れた有力選手、NBAの若手選手などが参加する。

NBAサマーリーグ2023

日程:7月7日~17日(同8日~18日)
開催地:ネバダ州ラスベガス

NBA全30チームが参加するサマーリーグ。

NBAサマーリーグは、その年のNBAドラフトで指名された新人たちや2年目選手、厳選されたフリーエージェントなど、NBAやNBA Gリーグのレギュラーシーズンロスター入りを目指す選手たちのショーケース。過去には、田臥勇太、川村卓也、竹内公輔、渡邊雄太、八村塁、富樫勇樹、馬場雄大、比江島慎などの日本人選手がサマーリーグでプレイしている。

関連記事:富永啓生のNBA入りの可能性は? ホイバーグHC一問一答「彼には素晴らしい未来が待ち受けている」


富永啓生の経歴

高校(桜丘高校):2016~2019年

桜丘高等学校(愛知県)の3年時(2018年度)にウインターカップ準決勝に進出。出場した6試合で1試合平均39.8得点をあげて大会得点王に輝き、チームを3位に導いた。高校在学中の2018年8月にはU18アジア選手権に出場。また、2019年2月には、NBAとFIBAが共催するバスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ・グローバルキャンプ2019に参加している。

短期大学(レンジャー・カレッジ):2019~2021年

高校卒業後、2019-2020シーズンよりNJCAA(全米短期大学体育協会)ディビジョン1(1部/D1)に属するレンジャー・カレッジ(テキサス州レンジャー)へ進学。2年目の2020-2021シーズン、富永は27試合に出場して16.3得点、3ポイントショット成功率48.7%をマークし、チームはNJCAAのD1選手権のファイナル4(準決勝)に進出した。

4年制大学(ネブラスカ大学):2021年~

2021-2022シーズンから、NCAAのD1に属するネブラスカ大学(ネブラスカ州リンカーン)に編入。新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、2020-2021シーズンにNCAAに在籍していた選手の在学資格が1年延長されたことにより、ネブラスカ大1年目が大学2年生という扱いとなった。このシーズン、富永は30試合(先発11試合)に出場し、1試合平均5.7得点を記録した。

2022-2023シーズン(3年生)の1月後半に先発メンバー入りした富永は、2月5日のペンシルベニアステイト大戦で自己最多となる30得点(フィールドゴール18本中12本成功)を記録すると、そこから20点ゲームを5試合連続(ネブラスカ大の選手としては1998年以来の最長記録)で達成。2月だけで7試合連続二桁得点を記録するなど得点源としての大役を果たし、チームの勝利に貢献した。

1️⃣1️⃣8️⃣ points

Only one @HuskerHoops player (James Palmer Jr. - 127) has scored more points in a 5-game @B1GMBBall span than @KeiseiTominaga. 💥

Watch every basket from his breakout February. 👇#B1Gstats x #富永啓生 pic.twitter.com/yDvpKnT0yX

— Big Ten Network (@BigTenNetwork) February 20, 2023

シーズン全体では32試合(先発14試合)に出場し、1試合平均25.1分のプレイで13.1得点、1.6リバウンド、0.7アシスト、0.5スティールを記録。平均得点だけでなく、FG成功率50.3%(前年37.3%)、3P成功率40.0%(前年33.0%)と、ショットの確率を大幅に上昇させた。また、2023年オールBIG10のHonorable mention(選外ながら特筆すべき選手)、学業成績優秀者を称えるアカデミック・オールBIG10にも選ばれている。

関連記事:ホイバーグHCが富永啓生のNBA入りの可能性について語る「彼のシュート力があればチャンスはあるだろう」

日本代表歴

  • 2018年4月:FIBA U16アジア選手権出場(1試合平均17.5得点)
  • 2018年8月:FIBA U18アジア選手権出場(1試合平均19.3得点)
  • 2021年7月:夏季オリンピック 3x3バスケットボール出場(1試合平均6.9得点)
  • 2022年7月:FIBAワールドカップ2023アジア予選Window3出場(1試合平均17.5得点)
  • 2022年7月:FIBAアジアカップ2022出場(1試合平均15.2得点)

富永啓生(Keisei Tominaga)プロフィール

  • 生年月日:2001年2月1日(22歳)
  • 身長・体重:188cm・82kg
  • 出身地:愛知県名古屋市
  • ポジション:シューティングガード

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著者
YOKO B Photo

フリーランスライター。NBAオクラホマシティ・サンダーを中心に取材するかたわら、英語発音コーチも務める。