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なぜレイカーズはダービン・ハムHCを解任すべきか? 続投させるべき理由は?

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Darvin Ham
(Getty Images)

1月5日(日本時間6日)に下位のメンフィス・グリズリーズ相手に困惑する黒星を喫した際の発言は、ロサンゼルス・レイカーズのダービン・ハム・ヘッドコーチのメンタリティーがうかがえるコメントのひとつだ。この黒星でレイカーズは15勝17敗と低迷。いら立つハムHCは自分に対する批判に立ち向かった。

当時、ハムHCは「これがNBAだよ。マラソンなんだ」と述べている。

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「一つひとつの試合で生死が騒がれることに飽き飽きする。本当にバカげているよ」

ある意味、ハムHCは正しかった。NBAでひとつの試合がシーズン全体を決めることはない。だが、レイカーズがそのマラソンで負けることになった理由はスロースタートにあった。そしてそのスロースタートにつながった根本の原因は、彼の判断にあるかもしれない。

レイカーズはプレイオフに進出するだけのために、シーズン後半戦を全力で戦わなければならなかった。ホームコートアドバンテージなしに第7シードで王者デンバー・ナゲッツを倒すのが、あまりに高すぎるハードルだったことは明らかだ。

今、ハムHCの手腕は怒るファンから以前よりも批判されている。ナゲッツとの第3戦で敗れた際には、ホームのアリーナで「ダービン・ハムを解雇しろ」の怒号が起きた。

球団内でも指揮官への疑念があるようだ。『The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者は、複数のリーグとチームの情報筋の話として、ハムHCの将来は「深刻な危機」にあると報じた。

レイカーズはハムHCを解任すべきなのか。ここでは解任すべき理由と、続投させるべき理由をまとめる。

なぜダービン・ハムHCの立場は危ういのか

プレイオフでハムHCはかなり失敗している。第1戦や第3戦でのタイムアウトの使い方はおかしかった。何も対処することなく、第2クォーターと第3Qに試合のコントロールを失うまで待ったのだ。第2戦では、第3Qにナゲッツが役割を変えさせたことにまったく対処せず、レイカーズは再びリードを失うことになった。

また、ハムHCのチームはまとまりがないようだった。第2戦の試合後には、アンソニー・デイビスが指揮官を批判している。

デイビスは『ESPN』のデイブ・マクメナミン記者に「攻守両面で自分たちが何をしているか分からない時間帯があった」と話した。

レイカーズの選手たちがコーチを批判したように見えたのは、これが初めてではない。1月には、選手とコーチの溝が深まっていると匿名の6選手が話したとThe Athleticが伝えている。その1月下旬には、クリスチャン・ウッドがハムHCのローテーションに対する不満を投稿した。

その不満は主に、レギュラーシーズン中のハムHCによる不可解なローテーションの決定によるものだ。選手たちの役割が明確に定まっていなかったのである。

2020年にレイカーズが優勝した時のスターティングラインナップの組み合わせは12通りだった。フランク・ボーゲルHCが率いた選手たちは、自分の役割を理解し、良いパフォーマンスをしていた。今のレイカーズは違う。

ハムHCは19のスターティングラインナップを採用した。昨季、レイカーズはウェスタン・カンファレンス・ファイナルまで勝ち進む中で、自分たちにとって最善のグループを見つけている。だが、ハムHCが再びそのグループで臨むようになったのは、50試合を25勝25敗で終えてからだった。

ハムHCはあまりにも長くキャム・レディッシュとトーリアン・プリンスにこだわり、八村塁がスターティングラインナップ入りした時の方がレイカーズはずっと良かったという明白な事実を無視したのだ。

ようやくハムHCがその変更に踏み切ると、レイカーズは22勝10敗と力強くレギュラーシーズンを締めくくった。だが、あまりに遅すぎたのだ。レイカーズは第7シードでホームコートアドバンテージを手にすることができなかった。シーズンを通じて同じ勝率だったら、レイカーズは56勝で西地区のトップシードを手にしていたのだ。

なぜダービン・ハムHCはレイカーズで続投すべきか

レギュラーシーズンの長期にわたって素晴らしい仕事ぶりではなかった。だがそれでも、1年前に就任1年目ながらプレイイン・トーナメントを経て西地区決勝までレイカーズを導いた指揮官であることは変わらない。

ハムHCは見事なゲームプランで素晴らしい瞬間をもたらしたこともある。12月には初のインシーズン・トーナメントでレイカーズを優勝に導いた。プレイイン・トーナメントではニューオーリンズ・ペリカンズを下してプレイオフに進出させている。

チームのスロースタートも、ハムHCだけが責められるべきではなかった。オースティン・リーブスが夏の代表活動を経てガス欠のようだったのも、序盤でディアンジェロ・ラッセルの3ポイントショットが不調だったのも、ジャレッド・バンダービルトやフリーエージェントで獲得したゲイブ・ビンセントがシーズンの大半で離脱していたのも、ハムHCのせいではない。

ナゲッツとのシリーズの前には、ハムHC続投を予想する声もあった。『Substack』のアンソニー・アーウィン記者によれば、彼が話した球団内部の人間のほとんどが、ハムHCが解任されることはないと考えていたという。

契約は2年残っている。シーズンを通じて、ロブ・ペリンカGMとオーナーのジーニー・バスはハムHCを公に支持してきた。

だが、レイカーズがハムHCを続投させれば、ファンは怒るだろう。おそらくそれはふさわしいことだ。再びナゲッツに手厳しく敗れたことは、最後の一撃だったかもしれない。レイカーズは今勝利を目指しており、ハムHCはその仕事に適した人物ではないかもしれないのだ。

原文:Fire Darvin Ham: Why Lakers head coach could be replaced after a disappointing year(抄訳)
翻訳:坂東実藍

著者
Stephen Noh Photo

Stephen Noh is an NBA writer for The Sporting News.

坂東実藍 Miran Bando Photo

フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。