【ボクシング】井上拓真vsアンカハスをリング誌元編集人が予想「井上は常に向上しているが…」2.24 両国国技館

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Takuma Inoue beating Solis
時事通信

井上拓真がWBA世界バンタム級王者としての初防衛戦で、技巧派ジェルウィン・アンカハスと対戦する。この一戦ならびに中谷潤人のWBC世界バンタム級王座戦、田中恒成が挑むWBO世界スーパーフライ級王座決定戦のトリプル世界戦は、2月24日(土)、『Prime Video Presents Live Boxing 7』として「Amazon Prime Video(アマゾンプライムビデオ)」で独占ライブ配信される。

名門『The Ring 』誌の元編集人で本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが、参考オッズの紹介とともに井上拓真 vs. アンカハスをシビアに予想する。

【告知】2.24当日、井上拓真&中谷潤人&田中恒成のトリプル世界戦をライブ速報予定!

■メインイベントはモンスターの弟・井上拓真の初防衛戦

パウンド・フォー・パウンドのスーパースター、井上尚弥の弟である拓真は、昨年4月、ベテランのリボリオ・ソリスを12ラウンド全会一致の判定で下し、兄が返上したWBA世界バンタム級正規王座を獲得した。アンカハスとの王座防衛戦は当初昨年11月にセットされたが、井上がスパーリング中に肋骨を骨折したため延期となっていた。

フィリピン出身のアンカハスは、2016年から約5年半で9度の防衛に成功した元IBF世界スーパーフライ級王者だ。フェルナンド・マルチネスに連敗を喫して勢いを失ったが、その意欲は衰えず、昨年6月、スーパーバンタム級契約でウィルナー・ソトに5回TKO勝ちを収めて再起を果たした。いずれはSバンタムのアンディスピューテッド王者・井上尚弥との対戦プランを夢想するが、まずはその弟・拓真を倒し、バンタム級での世界2階級制覇を目指している。

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大手ブックメーカーのオッズを参考に、アジアのボクシングシーンにも精通するトム・グレイが2月24日の両国国技館のメインイベントを飾る井上拓真 vs. アンカハスの勝敗を予想していく。

Jerwin Ancajas, former world boxing champion
FREDERIC J. BROWN/AFP via Getty Images

■井上拓真 vs. アンカハスの勝ち負けオッズ

米大手ブックメーカー『BetMGM』によれば、井上拓真は「-278」の有利、アンカハスは「+225」のアンダードッグ(不利)。ドローは「+1600」となっていた。

このオッズはアメリカンオッズで「-278」は100ドルの配当を手にするのに278ドルをかける必要があり、当たった場合は278+100=378ドルの支払い、「+225」は100ドルを賭けて当たれば225ドルの配当となり、100+225=325ドルの支払いとなる。

■井上拓真 vs. アンカハスの決着方法別オッズ

同じく『BetMGM』で、それぞれの最新のプロップベット(個別予想)オッズも見ていこう。

傾向としては、どちらかといえば判定決着が予想されており、そこで井上が勝つというオッズに人気がある。

  • 井上のKO/TKO/テクニカル・デシション/失格での勝利:+600
  • 井上の判定勝ち:-175
  • アンカハスのKO/TKO/テクニカル・デシション/失格での勝利:+650
  • アンカハスの判定勝ち:+400

※上記オッズは、本記事執筆時の2月21日時点のものとなる。

■本誌勝敗予想(予想者:トム・グレイ)

オッズを素直に参考にするならば、井上拓真(18勝1敗、4KO)がこの試合の勝者候補だが、これは井上のキャリア的な勢いによるところが大きいと読む。2019年11月にフランス人のノルディーヌ・ウバーリにポイント負けしたものの、その後復調し、5連勝を記録。昨年4月に世界王者になった。

一方、アンカハス(34勝3敗2分、23KO)は2022年にマルティネスにスーパーフライ級のIBFタイトルを奪われ、それ以前の試合では精彩を欠いていた。しかし、直近の試合はスーパーバンタム級契約でTKO勝ちしている通り、体重を上げることは元チャンピオンに有利に働く可能性が高く、2つ目の世界タイトルを獲得する見込みは大きなモチベーションになるだろう。

そして経験という点では、32歳のアンカハスのほうが圧倒的に有利だ。世界タイトル戦の経験は井上の2戦に対して、彼は12戦。しかもはるかに格上の相手と戦ってきた。また、井上がキャリア唯一の敗北を喫したウバーリのように、サウスポースタイルを効果的に活かすタイプでもある。

私はこのタイトルマッチではアンダードッグ(不利オッズ)のアンカハスを支持したい。井上はグッドファイターだし、常に向上しているが、相手はリボリオ・ソリスよりもずっと優れたファイターだからだ。

<スポーティングニュースの予想:アンカハスが3-0で判定勝ち>

※本記事は国際版記事を翻訳し、日本向けに編集したものとなる。翻訳・編集:スポーティングニュース日本版編集部 神宮泰暁

著者
Tom Gray Photo

Tom Gray is a deputy editor covering Combat Sports at The Sporting News.

神宮泰暁 Yasuaki Shingu Photo

日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。