【ボクシング】3階級制覇を狙う中谷の評価は?|日本人ボクサー パウンドフォーパウンド トップ5【2024年TSN冬版】

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New champion, Junjin Nakatani, wins by KO in the WBO World Super Flyweight title match.
時事/JIJI Press

2月24日の両国国技館で3階級制覇を狙う中谷潤人をはじめ、今、世界でもトップクラスを評価を受ける日本人ボクサーたち。本誌スポーティングニュースでは、日本勢に絞ったパウンド・フォー・パウンドも選出している。

そのトップ5を専門誌『The Ring』(リングマガジン)出身で、アジアのボクシングシーンにも精通する本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが総括する。

【告知】2.24当日、井上拓真&中谷潤人&田中恒成のトリプル世界戦をライブ速報予定!

中谷潤人はすでに世界トップクラスのエリートファイターだ。2月24日に東京・両国国技館で行われるWBC世界バンタム級タイトルマッチでは、王者のアレハンドロ・サンティアゴを倒し、その名声をさらに確かなものにしようとしている。

このタイトルマッチは、井上拓真 vs. ジェルウィン・アンカハスの世界戦をメインイベントとする『Prime Video Presents Live Boxing 7』のセミファイナルとして「Amazon Prime Video」で独占ライブ配信される。

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すでにフライ級、スーパーフライ級を制してきた中谷にとって、今回のタイトルマッチはバンタム級転向後初の試合となる。26歳のハードパンチャーは、階級を上げても問題なく戦えると考え、いきなりチャンピオンを相手にするという大胆な選択をとった。

対するサンティアゴ(28勝3敗5分、14KO)は昨年7月、自己ベストと言えるファイトでレジェンドになりつつあるベテラン、ノニト・ドネアを下し、空位だったWBC同級王座を手にした。この試合、28歳のメキシカンは、12歳年上のドネアより俊敏な動きを見せていた。だが、今回は自分よりも若くて、今まさにキャリアのピークにある選手を迎え打つことになる。ブックメーカー各社のオッズも中谷優位を示している。

そんな世界3階級制覇を狙う中谷を含め、日本のボクシングシーンは今、世界のボクシング界でも最もホットな戦場となっていて、その注目度は増すばかりだ。ここでは、『The Ring』出身の本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが、日本の誇るPFPファイターTOP5を総括する。

日本が誇るPFPファイター TOP5

第5位 重岡銀次朗/優大

  • 年齢:24歳/26歳
  • 戦績:10勝0敗(8KO)/8勝0敗(5KO)
  • タイトル:IBF世界ミニマム級王者(銀次朗)/WBC世界ミニマム級王者(優大)

重岡兄弟を2人まとめて5位に置いてしまうのは無責任かもしれない。しかし、この男子最軽量級の「小さな巨人」たちは、甲乙つけがたい素晴らしい選手たちだ。

まだプロキャリアの序盤ながら、2人はいずれも世界タイトルを自らの手で勝ち取っている。暫定王者だった2人は、銀次朗はダニエル・バラダレスを5回TKOで、優大もペッチマニー・ゴーキャットジムを判定で下して、それぞれIBF、WBCのミニマム級正規タイトルを手に入れた。

ともにテクニックに優れ、パワーも持ち合わせているファイターであり、可能性は無限大。プロモーターの亀田プロモーションが世界的大手のMatchroomと提携を結んだこともあり、この先、2人はもっと話題になることだろう。


第4位 中谷潤人

  • 年齢:26歳
  • 戦績:26勝0敗(19KO)
  • タイトル:元WBO世界スーパーフライ級王座、元WBO世界フライ級王座

中谷は、井上尚弥同様、鋭いパンチと優れたボクシングIQを兼ね備えたパワーヒッターだ。加えて、172cmという軽量級では大きなサイズ、サウスポーというアドバンテージも持ち合わせる。

スーパーフライ級に転向する前、中谷はフライ級で2度のタイトル防衛に成功している。そして階級を上げるとともにパワーを増すと、昨年5月にはアンドリュー・モロニー(オーストラリア)に見事なノックアウト・パンチで仕留め、空位だったWBO世界スーパーフライ級の王座を獲得した。

2月24日のサンティアゴ戦に勝ち、3階級制覇を果たすことで、本誌や著名機関でのPFPランキングにおける中谷の評価はさらに上がっていくだろう。


Kenshiro Teraji smiles after defending his title.
時事/JIJI Press

第3位 寺地拳四朗

  • 年齢:32歳
  • 戦績:22勝1敗(14KO)
  • タイトル:現WBAスーパー/WBC世界及び『The Ring』誌ライトフライ級王座

ベイビーフェイス(童顔)の寺地はリングに上がった途端、恐ろしい悪魔に変貌する。プロ10戦目にしてWBC世界ライトフライ級王座を獲得してからというもの、『アメージング・ボーイ』はその階級のトップコンテンダーたちと戦うことで急速に成長。現在ではライトフライ級最強ファイターとしての地位を確立している。

2021年、矢吹正道を相手に10回TKO負けを喫し、デビュー以来の連勝はストップしてしまったものの、再戦では3回KOで矢吹に勝利。その実力への疑念を払拭するとともに、初黒星は相手のバッティングや新型コロナウィルス感染の影響が大きかったことを感じさせた。

直近の試合である1月のカルロス・カニサレス戦は、寺地のベストパフォーマンスには程遠かったが、それでもマジョリティ・デシジョンでの勝利を収めた。この試合後、右拳の伸筋鍵脱臼の手術を受けたが、減量苦も伝えられており、フライ級転向も現実味を増している。


第2位 井岡一翔

  • 年齢:34歳
  • 戦績:31勝2敗1分(16KO)
  • タイトル:現WBA世界スーパーフライ級王者、元WBA/WBC世界ミニマム級王者、元WBA世界ライトフライ級王者、元WBA世界フライ級王者、元WBO世界スーパーフライ級王者

日本人の男子ボクサーとして、史上初の4階級制覇を果たした井岡だが、その偉業は終わりを告げることなく、今もまだ続いている。

34歳の井岡がこれまでに戦った世界戦は24試合、その中にはフェリックス・アルバラード(12回3-0判定)、ファン・カルロス・レベコ(12回2-0判定、11回TKO)、マックウィリアムズ・アローヨ(10回3-0判定)、アストン・パリクテ(10回TKO)、田中恒成(10回TKO)、そしてドニー・ニエテス(12回3-0判定)、ジョシュア・フランコ(12回3-0判定)といったトップクラスのボクサーたちの名前が並んでいる。


第1位 井上尚弥

  • 年齢:30歳
  • 戦績:26勝0敗(23KO)
  • タイトル:現スーパーバンタム級世界主要4団体統一王者、元WBC世界ライトフライ級王者、元世界 WBOスーパーフライ級王者、元バンタム級世界主要4団体統一王者

井上が現在、日本人だけでなく総合的なPFPランキングにおいて最高のファイター1人であることに異論の余地はないだろう。井上の座を脅かすのは、井上に先んじて男子初の2階級4団体統一を達成した、ウェルター級4団体統一王者のテレンス・クロフォードくらいだ。現4団体統一王者の『モンスター』は傑出したスピード、パワー、完璧なテクニックを兼ね備える。

直近2戦で、スティーブン・フルトン、マーロン・タパレス相手にKO勝ちを収め、スーパーバンタム級では50年ぶりとなるアンディスピューテッド・チャンピオンとなった。ただただ素晴らしいファイターであるという他ない。

2024年はスーパーバンタム級で3試合を行うことを示唆している井上の次の標的は、『悪童』ルイス・ネリだ。正式発表は3月中とされている。


※本記事は国際版記事を翻訳し、日本向けに編集した記事となる。翻訳・編集:石山修二、編集:スポーティングニュース日本版編集部 神宮泰暁

著者
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Tom Gray is a deputy editor covering Combat Sports at The Sporting News.

神宮泰暁 Yasuaki Shingu Photo

日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。

石山修二 Shuji Ishiyama Photo

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター