井上尚弥vsルイス・ネリ、事前計量&薬物検査の経過|残すは前日計量|5.6 東京ドーム

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Naoya Inoue and Luis Nery will fight for undisputed championship
Naoki Fukuda

5月6日(月・祝)、34年ぶりの東京ドーム開催となるボクシング4大タイトルマッチ。そのメインイベントを飾る一戦が、スーパーバンタム級の4団体統一タイトルマッチ『モンスター』井上尚弥と『悪童』ルイス・ネリの一戦だ。

この一戦が正式決定に至る前、ネリは過去に山中慎介との2度のタイトルマッチにおいて、禁止薬物の陽性反応、体重超過といった違反を繰り返し、日本国内での無期限の資格停止処分を下されていた。このことから、試合開催のためにネリの資格回復に際して、薬物検査、体重管理に関して厳しいチェックが課せられることとなった。

ここでは、東京ドームに至るまでの両者の検査結果をタイムラインで追っていく【随時更新】

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■2024年2月20日:JBCがネリの資格回復手続きを開始

東京スポーツの取材に応じたJBCの安河内剛事務局長が、JBCとして動いているネリの資格停止処分解除への準備と、最大の懸念となるドーピング・体重超過違反防止の方策について言及した。

JBC側はネリ陣営からの処分解除申請を待つ状況で、薬物検査と体重超過対策については認定団体と協調した上で「特別なチェックになる」とし、超厳戒体制を示唆。違反時のペナルティについては「それを防ぐため」に準備していることを強調した。

実現までトラブル回避のために関係各所と入念なコミュニケーションをとるとし、「2度と違反を起こさないように管理をしないといけない」と話した。


■2024年2月26日:ネリの日本での資格回復をJBCが発表

日本ボクシングコミッション(JBC)は、日本での活動停止処分を科されていたルイス・ネリのライセンス資格回復を認めたと報じられた。これにより、5月6日(月・振替休日)東京ドームでの開催が確定的とされてきた井上尚弥とのタイトルマッチ実現に向け、最大の障壁がついにクリアとなった。

これに合わせるように、ネリ本人も自身のXに「公式発表」の言葉と、「soon」(もうすぐ)の絵文字を5つ並べた投稿を行った。


■2024年3月6日:井上 vs. ネリ正式発表、悪童が反省

3月6日(水)午前11時からのAmazonによる「LIVE BOXING第8弾記者会見」が行われ、井上尚弥 vs. ルイス・ネリのスーパーバンタム級4団体統一王座戦が正式に発表された、

ネリは終始神妙な表情で「再び日本の地を踏むことができて嬉しく思う。日本の皆様には申し訳ないです。(過去)二度、皆さんを裏切ってしまいましたが、今回は節制して調整しています。試合の機会を与えてくれた井上尚弥選手、大橋ジムには感謝いたします」と話し、反省と感謝の意を示した。

会見の中で、違反防止のための特殊な契約があるのかについては、大橋ジムの大橋秀行会長が「この場では詳しく言えないが厳しくやっている」とし、ネリのプロモーターであるショーン・ギボンズ氏も同意した上で、ネリが節制して調整していることを強調した。


■2024年3月6日:WBCが厳格体重監視、抜き打ち薬物検査も

正式発表会見を受けて、WBCは試合前の複数回に渡る厳重な体重チェックを実施していくことをXで表明した。試合45日前、30日前、14日前、7日前の調印時に検査を行い、急激な体重減少も抑制・監視するという。

大橋秀行会長は、会見後に体重超過があった場合は試合は行わないことを明言。安河内剛JBC事務局長は体重超過に対しての詳細なルールを設けたことを明かしている。


■2024年3月7日:「日本側の厳しい条件もネリには問題なし」とメキシコ現地で報道

メキシコのボクシング専門ウェブメディア『IZQUIERDAZO』のDavid Torres記者が3月5日付けで、WBC会長マウリシオ・スレイマン氏とネリ陣営のギジェルモ・ブリート氏の取材記事を配信した。

スレイマン氏は「前例(山中戦での体重超過)のせいもあって、(体重の)コントロールが増えた」と話し、ネリがすでに2月29日に一度、計量を済ませていること、今後は45日前、30日前、14日前、7日前、そして前日の公式計量をそれぞれ行うほか、アンチドーピングの抜き打ち検査を実施することを改めて明かした。

「ネリがこの試合に大いなる熱意を持って取り組んでいることを私たちは知っている」と、ブリート氏はネリが自らこうした厳しい条件を受け入れていることを強調。「彼はこの試合に非常に意欲的で、日本側の要求すべてに間違いなく従うだろう」とネリへの信頼感を示している。


■2024年3月21日:プロモーターがネリのドーピング検査クリアを公表

スポーツプロモーターのViva Promotionsが、自身のXならびにFacebookで、3月5日に行われたVADA(Voluntary Anti-Doping Association)によるドーピング検査でネリが陰性だったことを示す手紙を公表、ネリもこの投稿をリポストしている。

これで5月6日の井上尚弥戦に向けて一つハードルがクリアされた形となったが、手紙の中には引き続きVADAの検査は行われていく旨が記されている。


■2024年4月6日:井上、30日前計量をクリア。ネリ側からは特に公表なし

大橋ジムの大橋秀行会長が自身のInstagramにて「一ヶ月月前計量パスしました!」とコメントとともに井上との2ショット写真を投稿、井上が30日前計量をクリアしたことを公表した。

ネリ側からはこの前後、30日前計量についてのコメントは特になかった。


■2024年4月10日:井上が自身の31歳の誕生日に公開練習、順調な仕上がりをアピール

井上尚弥が自身31歳の誕生日となるこの日、練習を公開。順調な仕上がりをアピールし、どのパンチでもネリを倒す準備はできているとKO宣言してみせた。


■2024年4月10日:井上vsネリ戦のリザーバーとしてドヘニー招聘へ

井上の公開練習後の会見で、大橋秀行会長が井上vsネリ戦に不測の事態は生じた場合のリザーバーとして元IBF世界スーパーバンタム級王者のTJドヘニーを招聘したことを明かした。当日は、ブリル・バヨゴス(フィリピン)との8回戦が組まれるが、万が一メインイベントで欠員が出た場合にはドヘニーが出場することになると言う。

大橋会長は「井上が体重オーバーして、ドヘニーとネリがやることはないでしょう」と言い、ネリへのプレッシャーかと問われると「そうですね」と語ってみせた。

■2024年4月18日:WBC、井上とネリの薬物検査クリアを公表

WBCは、井上とネリがVADAによって行われたアンチドーピングのテストをクリアしたことをHP上で公表した。


■2024年4月20日:ルイス・ネリ、14日前の計量を順調にクリアしたことを公表

ネリが14日前の体重チェックをクリアした様子をNY在住のスポーツライター、杉浦大介氏がXで投稿。ネリ自身もこの投稿を引用RPするとともに、「14 days weight in ✅」と投稿している。

ネリのウェイトはこの段階で規定の128ポンドを下回る127.6ポンド、次は4月27日に126ポンド以下をクリアする必要がある。


■2024年4月22日:WBC、井上とネリの両者から14日前計量の結果を受け取ったことを公表

WBCは、14日前軽量の結果を井上とネリの両者から受け取ったことをHP上で公表した。

公表された文章の中には、両者が規定体重をクリアしたかどうかについての言及はないものの、「井上尚弥、ルイス・ネリ、大橋プロモーション、帝拳プロモーション、トップランク、ザンファー・プロモーションズの皆さんのボクシング、アンチドーピング検査ならびに体重管理の実施に対する模範的な取り組みに敬意を表します」とコメントしていることから、共にクリアしたものと考えられる。


■2024年4月23日:ネリ 、公開練習で減量について聞かれると「以前の試合より仕上がっている」

ネリが東京都内で練習を公開、減量について質問を受けると「体重は127ポンド(約57.6キロ)で問題ない。5か月練習し、以前の試合の10倍、20倍ぐらい仕上がっている」と、体重管理も順調な様子をアピールした。


■2024年4月28日:ネリ、7日前計量をクリア

7日前計量をルイス・ネリがパスした模様をプロモーターのショーン・ギボンス氏がX上にアップした。この時点のウェイトは124.7ポンド(56.56kg)だったとしているが、ネリ自身もこの数日前から自身のXアカウント上で、126ポンド、125ポンドとウェイトを示しながら「言い訳はしない」とコメント、順調に絞れている様子をアピールしていた。


■2024年4月29日:井上サイドからも7日前計量クリアが公表

大橋ジムの大橋秀行会長が自身のInstagramに「井上尚弥 1週間前計量 57キロです!」と投稿。ネリ同様、こちらもリミットの126ポンド(57.15kg)をクリアした。

今後の体重検査は、5月5日の前日計量を残すのみとなった(ドーピング検査は行われたとしても検査工程もあるため、試合後の結果公表になるとみられる)。


■2024年5月4日:ネリ 、前日計量を前に「すでにリミット内」と明言

横浜市内で行われた記者会見の場に黒づくめ、サングラス姿で登場したネリ、注目される前日計量を前に「すでに体重はリミット内に落とした。問題はない」と明言して、この試合への意気込みをうかがわせた。


■2024年5月5日:前日計量はともに一発パス

都内のホテルで行われた前日計量において、ネリはリミットの55.3kgに対して、-500gの「54.8kg」で一発パス。対する井上も-100gの「55.2kg」でパスしており、体重に関しては最後まで問題なく試合を迎えることになった。

ネリは20秒間のフェイスオフで火花を散らした以外は、多くを語らず計量会場をあとにしたが、井上は「試合は成立するだろうと思っていた。さすがにビッグイベント。ネリも過去最高のファイトマネーだろうし、心配はなかった」と話した。また、自身のXで計量パスを報告し、「明日東京ドームで会いましょう」とコメントした。

計量後のルール会議では、ネリが井上の使用する日本製グローブを見て、契約している米国製グローブではなく、井上と同じメーカーのグローブに変更したという報道があった。


本記事は、続報があり次第、随時更新していく。

著者
神宮泰暁 Yasuaki Shingu Photo

日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。

石山修二 Shuji Ishiyama Photo

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター